ストラディヴァリウス来たる!
瀬崎さんが奏でる激しい響きに、胸の奥にしまった感情が揺さぶられるような感じで、ボロボロと涙がこぼれてしまいました。感情にストレートに届く音楽、琴線に触れるってこういうことだろうかと、傷心の凍りついた胸が溶けていくのを感じました。
何故傷心かはさておき、クリスマスイブの本日、松本楼・ぴのん(姉妹館)では、バイオリンの名器「ストラディヴァリウス」のコンサートが行われました。
今から300年ほど前、北イタリアのストラディヴァリというバイオリン製作者が製作したストラディヴァリウス。全くの手抜き無く、精度の高い楽器を作り続けた彼のバイオリンは、年月を重ねても傷まず、逆に木材の音響性能の向上などにより楽器としての性能が上がっていったそうです。現存するストラディヴァリウスは400〜500台、そのうち、実際に演奏家に使用されているものは、ごく少数だそう。その中の一台「レインヴィル」を無償貸与されているのが、本日の主演者、瀬崎明日香さんなのです。
後世になるほどストラディヴァリウスの評価は高まり、競って有名な演奏家が所有したそうです。瀬崎さんのお話では「木(バイオリン)は音を出して初めて呼吸します。たくさんの演奏家達によって演奏され、あらゆる表現、感情、会場の空気を木が体感する事により、様々な音色を奏でられるようになります。年月が経つごとに深みのある響きを持つようになるのです。ワンステージのうちにも、観客の皆様の気持ち、会場内の空気がバイオリンに入り、音色が変化していくのですよ。」ということです。是非、生音の響きを体感し、心で共鳴していただけたら嬉しいです。とおっしゃっていました。
おっしゃるとおり、私も心が揺さぶられるような体験をさせて頂きました。音が身体の中まで届き、色々な感情の扉を開かれるという体験は、やはり人に感動を与えます。
私達接客業に従事するものも、常に表現者でありたいと思うのです。お客様の求めに応えると共に、思わぬ心の扉を開かれるような感動をご提供したい。その原動力となるのが、自らが感動的な場面に出会うことなのでしょうね。
たくさんの刺激を受け、感情を知り、心深くまで届くサービスを提供できる人間に・・・。
多くのバイオリンが自然淘汰されていく中、300年もの間愛され続け、人々の感情を吸収していったストラディヴァリウスのように、年月と共に変化し続け、深さを増していくような生き方をしたいものです。
ご来場くださった皆様も、感動を胸に幸せなクリスマスをお過ごし頂けたのではないでしょうか。
本日の皆様との素敵な出会いに感謝しながら、Merry Christmas!
本日の出演者の皆様のご紹介
●バイオリン:瀬崎明日香さん ●バイオリン:加藤えりなさん ●ピアノ:友清裕子さん
●バイオリン:戸澤哲夫さん(友情出演) ●司会:佐藤とし子さん
関係者の皆様、素晴らしいステージを有り難うございました。
鉄子